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自治体におけるワーケーション施策の最新動向と導入事例を紹介!

ワーケーションは、テレワークを活用して普段と異なる場所で仕事をしつつ余暇も過ごす新しい働き方です。コロナ禍を契機にテレワークが普及し、働く場所の制約が緩和されたことで、都市部の就業者が地方に滞在しながら働くことが現実的になりました。自治体にとってワーケーションは、平日の旅行需要創出や関係人口の拡大、地域経済の活性化につながる重要な施策として注目されています。

当記事では、自治体におけるワーケーション施策の動向、誘致がもたらす効果、自治体の導入事例を紹介します。

目次

1.  自治体におけるワーケーション施策の最新動向

1-1. 自治体がワーケーションに注目する背景

1-2. 国の方針と自治体向けワーケーションの位置づけ

1-3. 観光施策・地域政策としての役割の変化

2.  ワーケーション誘致が自治体にもたらす効果

2-1. 交流人口・関係人口の増加

2-2. 平日の観光需要拡大

2-3. 地域経済の活性化

2-4. 雇用機会の創出

3.  自治体によるワーケーションの導入事例

3-1. 新潟県妙高市

3-2. 北海道鹿追町

3-3. 山口県萩市


1. 自治体におけるワーケーション施策の最新動向

ワーケーションは、テレワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、余暇も過ごす滞在型の旅です。観光庁は「新たな旅のスタイル」と位置づけ、自治体でも平日の旅行需要や関係人口の創出を狙う施策が増えています。受入環境やプログラムの整備も重視されつつあり、企業の研修や交流の場として活用する動きも見られます。

(出典:国土交通省 観光庁/https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/

以下では、背景、国の位置づけ、役割変化を整理します。

 1-1. 自治体がワーケーションに注目する背景

自治体がワーケーションに注目する背景には、交流人口の拡大と地域経済の持続的な活性化という明確な狙いがあります。コロナ禍を契機にテレワークが普及し、働く場所の制約が緩和されたことで、都市部の就業者が地方に滞在しながら働くことが現実的になりました。ワーケーションは、観光客よりも長期滞在になりやすく、平日の消費創出や関係人口の形成につながります。

また、将来的な移住や二拠点居住の入口としても期待されています。こうした動きを受け、2019年11月には65自治体が参加する「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が設立され、自治体主導での受入体制整備や情報発信が進められています。

(出典:国土交通省「新たな旅のスタイル ワーケーション&ブレジャー」/https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/img/wb_pamphlet_corporate.pdf#page=4

 1-2. 国の方針と自治体向けワーケーションの位置づけ

国はワーケーションを、観光需要の創出や平準化にとどまらず、働き方改革や企業経営の高度化、地方創生にも資する施策として位置づけています。従来の国内旅行は、特定時期への集中や短期滞在が課題とされてきましたが、ワーケーションは滞在の長期化・多頻度化を促し、新たな旅行機会を生み出す手段とされています。

自治体にとってのワーケーションは、単なる観光施策ではなく、地域の自然・文化・食などの資源と「新しい働き方」を結びつけ、都市部人材との継続的な関係構築を図るための地域活性化施策であり、戦略的に位置づけられています。

(出典:日本テレワーク協会「ワーケーションの普及・定着に向けた観光庁の取り組み」/https://japan-telework.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/01/12_240112_kankoucyou.pdf#page=20

 1-3. 観光施策・地域政策としての役割の変化

ワーケーションは当初、観光需要の創出や旅行需要の平準化を目的とした観光施策として導入されました。しかし現在では、継続的な来訪や交流を通じた関係人口の拡大、企業や人材の誘致、地域課題の解決を支える取り組みとして、その役割は地域政策へと広がっています。滞在型の働き方を通じて地域との接点を増やし、地方創生を持続的に進める手段として位置づけられています。 ワーケーション先としては、リゾート地や温泉地、国立公園など自然環境に恵まれた地域が人気です。近年は、子育てと仕事を両立する親子ワーケーションや、場所に縛られないデジタルノマドなど、新たな形態も生まれています。


2. ワーケーション誘致が自治体にもたらす効果

自治体がワーケーションを誘致することで、観光振興にとどまらず、人の流れや経済活動に多面的な効果が期待できます。ここでは、自治体にもたらされる主な効果について整理します。

 2-1. 交流人口・関係人口の増加

ワーケーションで地域を訪れる人が増えると、観光目的の交流人口に加え、継続的に関わる関係人口も育ちます。滞在が数日から数週間と長くなりやすく、地域の暮らしを体感できる点が特徴です。滞在中に仕事と体験を組み合わせ、地元の人との交流や地域資源の魅力を感じてもらうことで、再訪や情報発信(SNS投稿など)につながりやすくなります。

自治体は、企業との連携や受入窓口の整備も進め、関係が続く仕組みを作ることが重要です。交流イベントやボランティアを用意すると参加の幅が広がります。

 2-2. 平日の観光需要拡大

ワーケーションは仕事日を含む滞在が前提のため、旅行が週末に偏りにくく、平日の宿泊・飲食・体験の需要を底上げします。閑散期や平日に稼働率が上がれば、旅館や飲食店の売上が安定し、人員配置も平準化できます。利用者側も混雑を避けやすく、料金が抑えられる時期を選びやすい利点もあります。

自治体は平日向けの体験プログラムやコワーキング拠点を整えると、滞在中の消費が地域内に回りやすくなります。連休だけに頼らない集客導線を作ることで、観光産業の収益を安定させやすくなります。

 2-3. 地域経済の活性化

ワーケーションで滞在者が増えると、宿泊・飲食・交通・体験サービスなどの利用が増え、地域内でお金が回りやすくなります。地場産品の購入や土産需要も伸び、売上が繁忙期に偏りにくくなる点も利点です。滞在が長い分、飲食店の複数回利用や夜間消費も起こりやすく、地域内の雇用にも波及します。

企業研修や交流会を通じて地元企業とつながれば、共同商品や実証事業が生まれる可能性もあります。サテライトオフィス設置が進めば、賃料収入に加え、清掃・設備管理など周辺需要も増えます。

 2-4. 雇用機会の創出

ワーケーションの受入を進めると、滞在者の仕事場となるコワーキングスペースの運営、宿泊施設のサポート、観光案内、体験プログラムやイベントの企画・運営などの業務が増え、地域での求人が生まれます。短時間勤務や副業の枠も作りやすく、子育て中などで就業機会が限られた人材の活躍にもつながります。 また、受入体制の整備に伴い、通信環境の保守、清掃、送迎、地域コーディネーターなどの役割も必要になり、雇用の幅が広がります。観光業の通年雇用にも寄与します。


3. 自治体によるワーケーションの導入事例

ワーケーションを誘致する自治体では、受入環境の整備やプログラム設計、企業との連携に工夫が見られます。妙高市・鹿追町・萩市の取り組みを手がかりに、自治体によるワーケーションの導入事例を紹介します。

 3-1. 新潟県妙高市

妙高市は温泉やスキーなど観光資源が豊富な一方、人口減少が進むため、観光に偏らない地域活性化策としてワーケーション受入を進めています。2022年7月、妙高戸隠連山国立公園内にテレワーク研修交流施設「MYOKO BASE CAMP」を開設し、コワーキングやシェアオフィスを整備しました。Zoomと連携し、オンライン会議用の機器やワーク環境を監修のもと導入した点も特徴です。

交流イベントなどを通じて、交流人口から関係人口へつなげる狙いもあります。利用者と地元事業者の交流が生まれ、継続訪問や新しい連携につながっています。

(出典:観光庁「新潟県妙高市 一般社団法人妙高ツーリズムマネジメント」/https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/column/column_02/

 3-2. 北海道鹿追町

鹿追町は2019年からワーケーション受入を開始し、移住体験住宅とWi-Fi環境を活用して来訪者を呼び込みました。コロナ禍で観光需要が減少した後は、関係人口の拡大と環境分野の地域課題解決を目的に2021年から本格化しています。

2022年からは環境テーマの短期滞在プログラム「シカソン」を展開し、ゼロカーボンシティ宣言や国立公園・日本ジオパークの強みを生かして参加企業と学び、考える機会を設計しています。企業連携の第一歩として、地域活性化起業人の受入にもつながりました。行政単独で抱えず、民間事業者と伴走しています。

(出典:観光庁「北海道 鹿追町」/https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/column/column_03/

 3-3. 山口県萩市

萩市は2015年からサテライトオフィス誘致を進め、その延長でワーケーションを展開しました。2017年のお試しサテライトオフィス、2018年のフリーランス合宿、2019年の実証実験を経て、歴史文化をたどり「学び直し」や内省につなげる滞在を提案しています。

旧藩校跡の萩・明倫学舎4号館で2022年3月にコワーキングスペース「Mei Link」を開設し、IT企業6社が市内で拠点を整備。浜崎地区の体験住宅「#梅ちゃんち」などを通じ、交流や関係人口の拡大、新規事業の芽につながっています。

(出典:観光庁「山口県 萩市」/https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/column/column_09/

まとめ

ワーケーションは、職場や自宅とは別の場所に滞在し、テレワークで働きながら余暇も楽しむ旅です。国は旅行需要の創出・平準化に加え、働き方改革や地方創生にも資する取り組みとして推進しています。自治体側では交流人口・関係人口の拡大、平日の観光消費の底上げ、地域経済や雇用の活性化を狙い、受入拠点や体験プログラムを整備する動きが広がっています。

ワーケーションの事例として、妙高市は「MYOKO BASE CAMP」、鹿追町は環境テーマの「シカソン」、萩市は明倫学舎の「Mei Link」で企業連携を進めています。

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