観光地や地域の魅力をWebサイトで発信していても、検索する人に見つけてもらえなければ、十分な集客にはつながりません。そこで活用したいのが、Googleなどの検索結果からWebサイトへの流入を増やす「SEO」です。旅行者との接点を増やす上でも役立ちます。
当記事では、SEOの基本的な仕組みから、観光振興・地域振興で取り組む目的やメリット、具体的な施策まで分かりやすく解説します。あわせて、生成AIによる検索の変化や、旅行・観光分野でSEOを活用している事例も紹介します。
目次
SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、検索エンジンにWebサイトやページの内容を理解してもらい、検索結果で見つけてもらいやすくするための施策です。検索するユーザーが求める情報を、分かりやすく届けることを目的とします。
具体的には、検索ニーズに合ったコンテンツの作成、タイトルや見出しの最適化、内部リンクの整理、ページ表示速度やモバイル対応の改善などがあります。広告費を支払って掲載するリスティング広告とは異なり、自然検索からの流入を増やすことを目指す点が特徴です。
検索順位だけを追うのではなく、ユーザーに役立つ情報を提供しながら、必要な人にサイトを見つけてもらいやすくする取り組みと言えます。
SEOには、コンテンツSEOとテクニカルSEOの2つの内部対策に加え、被リンクなどを通じてサイトの評価を高める外部対策があります。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
コンテンツSEOとは、ユーザーの検索意図に合った記事やページを作り、検索結果からの流入を増やすための施策です。まず、どのようなキーワードで検索されているのかを調べ、ユーザーが知りたい情報や悩みを整理した上で、内容を設計します。
具体的には、検索意図に沿ったテーマ設定、タイトルや見出しの調整、情報の網羅性や分かりやすさの向上、内部リンクの設置などが挙げられます。単にキーワードを多く入れるのではなく、読者の疑問を解消できる内容にすることが重要です。また、古くなった情報を更新したり、必要に応じて専門的な情報や具体例を加えたりすることも必要です。公開後も検索順位や流入状況を確認し、検索ニーズの変化に合わせて内容を見直しながら、継続的にコンテンツの質を高めていきます。
テクニカルSEOとは、検索エンジンがWebサイトを巡回し、ページの内容や構造を正しく理解できるように技術面を整える施策です。どれだけ有益なコンテンツを作っても、検索エンジンに適切に認識されなければ、検索結果で十分に評価されない可能性があります。
代表的な施策には、XMLサイトマップの設置、内部リンクやパンくずリストの整備、タイトルタグや見出しタグの最適化、URLの正規化、ページ表示速度の改善などがあります。加えて、モバイル端末での見やすさや、検索エンジンに登録させたくないページの制御、重複ページの整理や、インデックス状況の確認も対象です。サイト全体の構造や表示環境を整え、検索エンジンが重要なページを見つけやすく、ユーザーも快適に利用できる状態を作ることが基本となります。
外部対策とは、自社サイト以外のWebサイトやSNSなどから得られる評価を通じて、検索エンジンからの信頼性や権威性を高める施策です。代表的な要素には、他サイトから自社サイトへ向けられる「被リンク」や、サイト名・企業名・ブランド名などが外部で言及される「サイテーション」があります。
質の高いサイトから自然にリンクされたり、多くの人に情報源として紹介されたりすると、自社サイトの信頼性を示す1つの材料になります。そのため、独自性のある調査や役立つ情報を発信し、第三者が紹介したくなるコンテンツを作ることが重要です。一方、不自然なリンクの購入や大量生成は、検索エンジンのガイドラインに反する可能性があります。自社で直接操作するのではなく、外部から自然に評価される状態を目指すことが基本です。
検索結果に表示されるまでには、ページの発見、インデックスへの登録、アルゴリズムによる評価という流れがあります。ここでは、掲載順位が決まる基本的な仕組みを3つに分けて紹介します。
検索エンジンは、「クローラー」と呼ばれる自動プログラムを使って、Web上のページを探します。GoogleではGooglebotが、既知のページのリンクをたどったり、サイトマップを確認したりして、新しいページや更新されたページを見つけます。見つけたURLにアクセスし、テキストや画像、動画などの情報を取得する作業が「クロール」です。ただし、robots.txtの設定やログイン制限などにより、クローラーがアクセスできないページもあります。
クローラーがページを取得すると、検索エンジンは内容を解析し、検索結果に利用する情報として保存します。この工程が「インデックス登録」です。Googleでは、テキストや画像、動画、タイトルなどを確認し、ページの内容を把握します。また、似たページが複数ある場合は、代表となるページが選ばれ、情報がインデックスに保存される仕組みです。ただし、クロールされたページがすべて登録されるとは限らず、内容や設定によってはインデックスされない場合もあります。
ページがインデックスに登録されると、ユーザーが検索した際に、検索エンジンのランキングシステムが各ページを評価します。Googleでは、検索語句との関連性や情報の有用性、ページの品質などが、検索結果の順位を決める主な要素です。さらに、ユーザーの所在地や言語、使用している端末なども考慮されるため、同じ検索語句でも結果が異なる場合があります。掲載順位は固定ではなく、アルゴリズムの改善やページ内容の変化によって変動することもあります。
観光振興・地域振興でSEOに取り組む目的には、地域の知名度向上や旅行検討者の集客、継続的な流入経路の確保などがあります。ここでは、主な目的を3つに分けて紹介します。
観光振興や地域振興でSEOに取り組む目的の1つは、まだ地域名を知らない人にも情報を届け、知名度を高めることです。「〇〇市 観光」のように地域名を含めて検索する人は、すでにその地域を認識している指名検索に近い層に当たります。一方、「関東 温泉 おすすめ」「一人旅 絶景」のように、地域名を指定せずテーマや目的から探す人は、非指名検索に当たる層です。
こうした検索に対応する記事を用意すれば、これまで地域を知らなかった人にも魅力を知ってもらうきっかけを作れます。検索結果で地域名に触れる機会を増やし、旅行先の候補として認識してもらうことが、SEOに取り組む狙いと言えるでしょう。
旅行を検討している人は、最初から行き先を1つに決めているとは限りません。「夏休み 国内旅行 おすすめ」「子連れ 温泉 関東」などで検索し、複数の地域や観光地を比較しながら候補を絞るケースもあります。SEOによってこうした検索結果に公式サイトの情報を表示できれば、検討段階の人を地域のWebサイトへ呼び込む接点を作れます。
公式サイトでは、観光スポットの営業時間やアクセス、イベント、交通情報などを正確な内容で案内しやすい点も強みです。比較サイトやSNSだけで情報収集を終えず、公式情報まで確認してもらう流れを作ることで、その地域を具体的な旅行先として検討してもらいやすくなります。
SEOは、一度作成したコンテンツをWebサイト上に蓄積し、長期的な集客の入り口として活用できる点が特徴です。たとえば補助金や交付金を使ってWeb広告を出稿した場合、短期間で多くの人へ情報を届けやすい一方、出稿を止めれば広告経由の流入も基本的には止まります。
SEOでは、観光スポットやモデルコース、季節ごとの楽しみ方などの記事が検索結果に掲載され続ければ、公開後も検索から訪問者を集められる可能性があります。情報の更新や改善を続けることで、過去に作った記事も資産として活用しやすくなるでしょう。単発のプロモーションだけに頼らず、継続的な流入経路を育てられることがSEOの強みです。
観光振興・地域振興目的でSEOに取り組むメリットには、情報発信の自由度や多様なニーズへの対応、検索データの活用などがあります。ここでは、主なメリットを紹介します。
SEOを活用すると、自治体や観光事業者が、自ら伝えたい旅行・観光情報を継続的に発信できます。観光スポットやイベント、季節ごとの見どころ、アクセス方法などを記事として用意すれば、検索を通じて情報を探している人に届けやすくなります。
公式サイトでは、地域ならではの魅力や最新情報を自分たちの言葉で詳しく紹介できる点もメリットです。広告やSNSだけに頼らず、検索結果から公式情報へつながる接点を増やすことで、地域の魅力を主体的に伝えられます。
旅行者のニーズは、行き先だけでなく、季節、同行者、目的、宿泊形態などによって大きく異なります。SEOでは、「子連れ 観光」「一人旅 温泉」「春 絶景」など、それぞれの検索意図に合わせて記事を用意できるため、多様な旅行者との接点を作れます。
旅行先が決まっていない潜在層にも、検索テーマに合う情報から地域を知ってもらうことが可能です。ニーズごとにコンテンツを増やすことで、幅広い検索キーワードから公式サイトへの流入を見込める点がメリットです。
SEOでは、どのようなキーワードでページが表示されたか、どの記事にアクセスが集まったかなど、検索や閲覧のデータを確認できます。こうした情報から、旅行者が関心を持つテーマや地域、季節ごとの需要を把握しやすくなります。
たとえば、観光スポットや体験に関する検索が増えていれば、関連記事の追加や特集企画を検討する材料になります。検索順位やアクセス状況を継続的に分析することで、次に発信する情報や観光施策の方向性を考える手がかりとして活用できます。
観光振興・地域振興でSEOに取り組む場合、成果が出るまでの期間や継続的な運用体制、競合との競争などに注意が必要です。ここでは、主なデメリット・注意点を3つ紹介します。
SEOは、広告のように出稿直後からアクセスを集められる施策ではなく、成果が表れるまでに一定の時間を要します。記事を公開しても、検索エンジンに評価され、順位が安定するまでには数か月以上かかることもあるでしょう。
観光分野では、有名観光地や旅行関連企業など競合するサイトも多いため、短期間で上位表示するのが難しいケースもあります。すぐに集客が必要な場合は広告やSNSも活用し、SEOは中長期的な施策として取り組むのが現実的です。
SEOは、記事を一度公開すれば終わりではなく、継続的に情報を更新する体制が必要です。観光情報は、営業時間や料金、アクセス方法、イベントの開催状況などが変わりやすく、古い情報を放置すると利用者の混乱につながるおそれがあります。
検索順位を維持・改善するためにも、アクセス状況を確認しながら記事の内容を見直すことが欠かせません。担当者や更新頻度をあらかじめ決め、無理なく運用を続けられる体制を整えておく必要があります。
検索数が多い人気キーワードほど、多くの自治体や観光事業者、旅行メディアなどが対策しているため、上位表示の難易度が高くなります。たとえば「京都 観光」「温泉 おすすめ」のような検索では、実績や情報量のあるサイトが競合になることもあります。
競合が強い場合は、同じキーワードだけで正面から競うのではなく、地域名と旅行目的、季節、同行者などを組み合わせた具体的なキーワードも検討しましょう。競合状況を確認し、上位を狙えるテーマを選ぶことが重要です。
観光協会や商店街がSEOに取り組む際は、ターゲットやキーワードを決め、ページの最適化や公開後の分析まで進める必要があります。ここでは、具体的な9つの施策を紹介します。
SEOに取り組む前に、まず「誰に地域の情報を届けたいのか」を明確にします。観光客といっても、子連れの家族、一人旅を楽しむ人、若者、シニア、訪日外国人など、興味や必要とする情報はさまざまです。たとえば家族旅行を想定するなら、子どもと楽しめる施設や移動のしやすさ、食事場所などへの関心が高いでしょう。
ターゲットが曖昧なままでは、発信する情報の方向性も定まりにくくなります。誰が、どのような目的で検索し、何を知りたいのかまで具体的に想定することで、次に選ぶキーワードや作成するコンテンツの軸を決めやすくなります。観光協会や商店街で想定する来訪者像を事前に共有し、情報発信の基準をそろえておくことも重要でしょう。
ターゲットを決めたら、その人が旅行や観光の情報を探すときに使いそうな検索キーワードを選びます。観光分野では、地域名だけでなく、「温泉」「絶景」「子連れ」「一人旅」「紅葉」など、目的や同行者、季節を表す言葉で検索されるケースも少なくありません。たとえば「〇〇市 観光」だけでなく、「〇〇市 子連れ 雨の日」「〇〇駅 ランチ」のように、具体的なニーズを組み合わせる方法があります。
候補を出す際は、Googleの検索候補や関連キーワード、キーワード調査ツールなども参考になります。検索数の多さだけで決めず、その地域で実際に提供できる情報と検索意図が合っているかを確認しましょう。狙うキーワードを整理すると、どのテーマからコンテンツを作るべきか判断しやすくなります。
狙うキーワードを決めたら、その言葉で検索する人が知りたい内容に合わせてコンテンツを作成します。たとえば「〇〇市 子連れ 観光」であれば、親子で楽しめる施設だけでなく、対象年齢、料金、アクセス、雨天時の利用可否なども盛り込むと役立つでしょう。観光協会や商店街のサイトでは、現地を知る立場だからこそ発信できる穴場情報、季節ごとの見どころ、イベント、モデルコースなども独自性につながります。
検索上位のページをそのまままねるのではなく、ユーザーの疑問を解消できる情報を過不足なくまとめることが基本です。写真や地図も必要に応じて掲載し、旅行前に具体的な行動をイメージできるページを目指しましょう。公開後は情報が古くならないよう、営業時間や料金なども定期的に確認します。
記事を作成したら、検索結果でページの内容を伝えるタイトルとメタディスクリプションを設定します。メタディスクリプションとは、ページの概要を短くまとめた説明文のことです。検索結果では、タイトルの下に説明文として表示される場合があります。
タイトルには狙うキーワードを自然に含め、そのページで何が分かるのかを簡潔に示しましょう。メタディスクリプションには、観光スポットの特徴や記事で紹介する内容をまとめ、検索した人がページを読むか判断できる情報を記載します。ただし、Googleが実際の検索結果に表示するタイトルや説明文は、設定した内容から変更される場合があります。ページごとに内容を設定し、同じ文言の使い回しは避けましょう。
観光サイトでは写真が地域の魅力を伝える重要な要素になるため、掲載する画像には内容に合ったAltテキスト(代替テキスト)を設定します。Altテキストは、写真に何が写っているのかを簡潔に説明する文章で、検索エンジンが画像の内容やページとの関係を理解する手掛かりとなるものです。たとえば桜が咲く〇〇公園の写真なら、「春の〇〇公園に咲く桜」のように、画像の内容が伝わる表現を付けます。
SEOを意識するあまり、同じキーワードを不自然に詰め込む必要はありません。写真ごとに内容を確認し、画像を確認できない場合でも内容を把握できる程度に、具体的に記述することが基本です。観光地名や施設名は、写真の内容と一致する場合に自然な形で含めましょう。
Webサイト内の情報は、ユーザーと検索エンジンの双方がページ同士の関係を理解しやすいよう、論理的に整理します。観光協会や商店街のサイトなら、「観光スポット」「グルメ」「イベント」「アクセス」などのカテゴリを設け、その下に個別ページを配置すると分かりやすくなります。
トップページからカテゴリページ、さらに詳細ページへとたどれる階層を意識し、似たテーマの情報は同じまとまりに整理しましょう。ページが増えても目的の情報へ迷わず移動できる構成にすると、利用者の使いやすさにつながります。検索エンジンにもサイト内の各ページの関係や重要度を伝えやすくなるため、サイトを新設・改修する段階から全体構成を設計しておくことが重要です。
内部リンクとは、自分のWebサイト内にある別のページへ移動できるリンクのことです。たとえば観光スポットの記事から、周辺の飲食店やイベント、アクセス情報のページへリンクを設ければ、旅行者が次に知りたい情報へ移動しやすくなります。モデルコースから各施設の詳細ページへ案内する方法も有効です。
Googleもリンクをたどってサイト内の別ページを見つけ、ページ同士の関係を把握します。リンクを設置する際は、「詳しくはこちら」だけでなく、「〇〇公園へのアクセス」のように、移動先の内容が分かる文言を使いましょう。関係の薄いページまで大量につなぐのではなく、ユーザーにとって必要な情報へ自然に移動できるよう配置することが基本です。
外部サイトから自社サイトへ向けられたリンクは「被リンク」と呼ばれます。観光協会や商店街の場合、自治体や地域の観光関連団体、報道機関、旅行メディアなど、信頼性のあるサイトから紹介される機会を増やすことが被リンク獲得につながります。
たとえば新しい観光イベントや地域独自の取り組みをプレスリリースで発信したり、自治体・地元企業と共同企画を行って公式ページから紹介してもらったりする方法があります。Googleはリンクをランキングに用いる要素の1つとしていますが、不自然なリンクを購入して数だけ増やす方法は避けるべきです。地域ならではの有益な情報を発信し、第三者から自然に参照・紹介される状態を目指しましょう。
ページを公開した後は、Google Search Consoleを使って検索結果での反応を確認します。Search Consoleでは、ページが表示された回数を示すインプレッション数、クリック数、クリック率(CTR)、平均掲載順位などを確認でき、どの検索語句から見られているかも把握できます。
表示回数が多いのにクリック率が低いページは、タイトルやメタディスクリプションを見直す余地があります。狙ったキーワードで表示されていない場合は、検索意図と記事内容が合っているかを確認しましょう。公開して終わりにせず、データを定期的に確認して改善を重ねることで、検索結果からより多くの旅行者を呼び込めるページへ育てていけます。
Googleは、AIを活用した検索でもSEOの基本は変わらないとしています。一方で、検索結果の変化に合わせ、施策を柔軟に見直す必要性は高まっています。
Google検索では、検索結果の上部にAIが情報を要約して表示する「AI概要(AI Overviews)」が導入されています。こうした検索では、ユーザーが検索結果だけで疑問を解決し、Webページをクリックしないケースが増える可能性があります。
SEOツール企業のAhrefsが2026年に行った独自調査では、日本の情報収集型キーワードでAI概要が表示された場合、検索1位のページが100回表示されても、クリックされたのは平均約9回(AI概要表示時の実測CTRは9.0%)でした。同じキーワード群についてAI概要がなければ得られたはずと推計した予測CTR24.1%と比べ、62.7%低い結果でした。ただし、これはGoogleの公式統計ではなく、Ahrefsによる調査結果です。
生成AIの普及により、SEOでは、ほかのサイトやAIでも簡単に作れる一般的な情報だけでなく、その発信者だからこそ提供できる内容の重要性が高まっています。Googleも、生成AI検索では独自性があり、一般的な知識を超える価値を持つコンテンツを重視しています。
自治体や観光協会は、地域のイベント情報、交通案内、施設の最新情報、現地で得た写真や取材内容など、一次情報を発信できる立場です。こうした情報は、他サイトの要約や生成AIだけでは作りにくく、地域を詳しく知る組織ならではの強みになります。既存情報をまとめ直すだけでなく、現地で確認した事実や担当者だから分かる情報を加えることで、検索ユーザーにとって有用で信頼できるコンテンツを作りやすくなるでしょう。
旅行・観光の分野では、企業や観光地域づくり法人などが、検索ニーズに合わせた情報発信に取り組んでいます。ここでは、SEOを活用している3つの事例を紹介します。
東急株式会社が運営する定額宿泊サービス「TsugiTsugi」では、公式サイト内の「ツギツギ トラベルマガジン」で旅行・宿泊に関する記事を発信しています。特徴の1つが、同じテーマでも地域別にコンテンツを分けている点です。
たとえば、宿泊の定額サービスに関する記事を全国版だけでなく、東京都内・大阪・名古屋など地域ごとに用意しています。「東京で定額宿泊サービスを探したい」「大阪で使えるサービスを知りたい」といった検索ニーズに合わせて情報を出し分けることで、必要な情報へたどり着きやすい構成です。地域名を含む検索にも対応しやすいSEOの事例と言えるでしょう。
HISが運営する「旅ブロ」では、「海外支店スタッフが発信する最新情報」として、各地のスタッフが旅行者向けの記事を掲載しています。アジア、ヨーロッパ、北米、オセアニアなど地域ごとに情報を探せる構成です。
現地スタッフが発信するため、観光地の基本情報だけでなく、現地の様子や最新情報、実際に足を運んだからこそ分かる内容を届けやすい点が特徴です。一般的な旅行情報をまとめるだけでなく、現地にいる人ならではの一次情報を継続して発信することで、旅行者に役立つ独自性あるコンテンツを蓄積しています。SEOでも、自社だからこそ提供できる情報を生かした事例です。
一般財団法人VISITはちのへが運営する「VISIT HACHINOHE」では、観光スポットやモデルコース、地域産品、イベントなど、情報の種類ごとにコンテンツを整理しています。利用者が目的に合った情報へたどり着きやすく、検索エンジンにもサイト構造を伝えやすい設計です。
また、「八戸三社大祭」の行事日程ページは、URLに年号を含めず、毎年同じURLの内容を更新しています。年ごとに新しいページを作って情報を分散させず、1つのページに蓄積することで、過去に得た評価や被リンクを引き継ぎやすくなります。継続的に検索流入を得るためのSEOを意識した運用例です。
SEOは、検索する人が求める情報をWebサイトに用意し、検索結果から見つけてもらいやすくするための施策です。観光振興・地域振興では、地域の知名度向上や旅行検討者の集客、長期的な流入経路の確保につながります。
取り組む際は、検索意図に合ったコンテンツを作り、タイトルや内部リンク、サイト構造なども整えましょう。生成AIによって検索結果の形は変化していますが、自治体や観光協会だからこそ発信できる一次情報や最新情報を生かし、公開後も継続的に改善していくことが重要です。