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【観光レポート】京都の隠れた名城、周山城の謎と魅力に迫る

今回は、京都丹波地方にあるお城のPR事業に関わる社員Yによるレポートをお届けします。京都での観光関連事業の取材中、明智光秀が築いた山城「周山城(しゅうざんじょう)」の発掘調査現場に立ち会うことができました。そんな貴重な体験を通じて改めて感じた、山城の歴史や魅力を語ります。

なぜ、いま京都の山城なのか?

京都のお城といえば世界遺産・二条城や御料地・伏見桃山城などが有名ですが、実はそれらを含め京都には230ものお城が存在します。

お城にはいくつかの種類がありますが、その中でも特に京都の「山城」は独特の魅力を持っています。山城とは山の頂上や斜面に建てられた城で、地形を利用して敵の侵入を防ぐ特徴があり、戦国時代の戦略や築城技術を学ぶ上で重要な遺構です。山城を訪れることで、当時の武将たちの知恵や工夫を感じることができます。

そして近年、新たな観光誘客施策として、京都市内からの観光客の分散化(オーバーツーリズム対策)を目的に、山城をテーマにしたPR事業が進められており、注目を集めているのです。

明智光秀の足跡を辿る京都丹波の山城

京都市京北周山町から福知山市までの京都丹波地区と呼ばれるエリアには、戦国時代に明智光秀が織田信長から「丹波平定」を命じられ、築城や攻略を行ったお城が数多く存在します。これらのほとんどには天守閣がありませんが、残された石垣や曲輪などから往時を偲ぶことができます。

明智光秀は“天下の謀叛人”として知られていますが、彼が築いた城からは、築城の名手としての痕跡やお茶を嗜む文化人としての側面など、一般的な光秀のイメージとは異なる魅力が垣間見えます。

このように京都の山城は奥が深く、歴史好きの方はもちろん、歴史やお城には興味が湧かないという方をも虜にしてしまう魅力が詰まっています。

謎に包まれた山城「周山城」

今回は山城の中でも現存する資料が少なく、謎につつまれた「周山城」の魅力に迫りその謎を解き明かすべく、城郭研究家の先生とともに山城に登ってきました。
明智光秀はなぜ、標高509メートルの山頂にあれほどまでに美しい石垣の山城を築いたのか?
発掘調査で解明されつつある“周山城の素顔”を少しご紹介したいと思います。

天正7年(1579年)頃に築かれたとされる周山城は、東丹波の拠点として重要な役割を果たしました。
麓には若狭、近江、丹波、京都を結ぶ街道が交わり、若狭と京を結ぶ桂川が流れる、交通と水運の要衝にあります。お城の周辺には、山城にも関わらず転用石を用いた石垣が築かれ、特に三の丸虎口(お城の入口)周辺は、権力を誇示するかのように美しく積まれた“魅せる石垣”が築かれています。
転用石とは、本来は別の目的のために加工された石材を、お城の石垣に転用した石材のことです。

転用石の中には、石仏も見つかりました。
三の丸虎口の魅せる石垣。これだけ綺麗に積まれた山城の石垣は貴重です。

また、二の丸虎口には当時のお城では珍しい高い格式を誇る「薬医門」の痕跡が見つかっています。

薬医門礎石。山城に格式の高い薬医門を作ったのは、信長や光秀がこの地を重要視していた証です。
周山城本丸からさらに奥に西の丸が続いてます。

「周山城」は本来、戦の本陣であるべき山城でありながら、これほどまでに美しく格式高く築かれていることから、明智光秀が藤堂高虎や加藤清正にも負けない築城の名手であったことが伺えます。

周山城と福知山城、異なる城に見る光秀の多面的な築城理念

明智光秀は、主君である織田信長から近江・丹波50万石を拝領しながら、なぜ“天下の謀叛人”となったのでしょうか。彼の行動は、歴史の中で大きな謎とされています。

光秀の築城には、単なる軍事的な視点だけでなく、地域の発展や文化の振興を重視する姿勢が見え隠れします。「周山城」は戦略的な防御を重視したお城ですが、一方で同時期に築いた「福知山城」は城下町をもつ平山城であり、戦よりも町の繁栄を優先して作られています。

なぜ、ひとりの大名が同じ時期に、こうも異なるお城を築いたのか?
そして、その思いはどのように育まれたのか?

彼が築いたお城やその周辺は、まだまだ解明されていない謎や歴史ロマンが詰まっており、今なお多くの人々を魅了しています。光秀の生涯や彼の城に込められた思いを探求することで、歴史の深淵に触れることができるのです。

さいごに

今回はタイミングよく発掘調査と取材が重なったことで、発掘現場で学芸員さんから直接説明を聞けるという貴重な体験ができ、京都丹波地方のお城のPR事業に対する思いが一層深まりました。
今までお城をテーマにしたイベントの企画や運営にも携わってきましたが、これからも「周山城」と京都丹波のお城の歴史と謎を追いかけながら、新たな観光素材の開発に繋げていきたいと思います。

そして、これを読んでいる皆さまも、ぜひお城に興味を持っていただけたら嬉しいです。


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